「2つの封筒問題」~確率と期待値に潜むワナに注意!~

こんにちは。リモ太郎です。

リモ太郎
リモ太郎

昨年50歳を迎え、60歳での社会人引退とそりの後の資産形成に向けて、今年から本格的に投資信託や高配当ETFへの積立投資を始めました。

資産形成を目的に長期間の投資に取り組む時、将来の期待収益とか目標額に達する確率をある程度予測してみることってありますよね。それらの試算に応じて、実現性が高そうな投資先や金額を決められる方も多いかと思います。

でも、確率や期待値というのはなかなかの曲者で、100%期待通りになることはほとんどないですし、前提条件を少し変えただけでも結果は全く違うものになってしまいます。

投資の世界にも、絶対に元本割れはしません!とか、1年で倍の資産になります!とかいった、いかにもインチキじみた商品もあります。そういった商品はたいてい、ありえない前提条件からありえない確率や期待収益を導き出すワナを使って、顧客を信じこませるような売り文句をうたっていたりします。

そこで今回は、おいしい話には巧妙なワナが潜んでいるという典型的なエピソードとして、「2つの封筒問題」をご紹介します。

この話はかなり有名な話ですので、ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、もし初見でしたら、ご自身の資産防衛にも役立つ話ですし、それ以外にも小ネタとして使える話題ですので知っておいて損はないと思います。

もし、いきなり何がおかしいのかを見抜けた方は、かなりすごいです!(笑)

ためて、ふやして、進化する。ひふみ投信

2つの封筒問題 – 問題編

「2つの封筒問題」は別名2つの封筒パラドックスとも呼ばれています。問題自体はいたってシンプルで、次のようなものです。

2つの封筒の中には、それぞれある金額のお札が入っています。外見では2つの封筒の区別はつかないが、どちらかには他方の2倍の金額が入っていることを知っています(例えば1万円と2万円)。

A君は、どちらでも好きな方をあげるよと言われ、一方を取りました。

ここでA君は、「取らなかった方と交換してもいいですよ」と言われました。

さて、A君は交換した方が得をするのでしょうか?

そこでA君は、次のように考えました。

A君が考えたこと

あっちの封筒には、この封筒の半額か、倍額が入っているということだね。

あっちが半額か倍額かは可能性としては半々だけど、半額になった時の損失よりも倍額になった時の儲けの方が大きいよね。

論理的に説明するとこうなるかな。

今手元にある封筒の金額をX円とすると、向こうの封筒には1/2の確率でX/2円か2X円が入っている。交換した時の期待値を計算すると、

(1/2 × X/2)+(1/2 × 2X)= 1.25X

つまり交換すれば確率的には25%得することになるので、交換すべきだね!

上のA君の考えが間違っていることは、直感からして明らかです。一度選んだものを交換しただけで儲かるなんて都合のいい話はありません。

もう片方の封筒を別のB君に渡す設定にするともっと分かりやすくなります。A君の考えは当然、B君にも当てはまり、もしこれが正しいなら2人とも儲かるという前提で交換することを選ぶことになるでしょう。これは明らかに不合理です。

では、上のA君の考えのどこが間違っているのでしょうか?(←これが問題です)

2つの封筒問題 – 解答編

答えは次のとおりとなります。

A君は、今手元にある封筒の金額を現実(X円)として、他方の封筒の金額を可能性(X/2円 or 2X円)として2つ設定しましたが、この3つの金額設定が間違いです。

そもそも2つの封筒には、X円と2X円という2つしか存在しないはずなのに、X円、X/2円、2X円という3つの可能性が登場することがありえないのです。

正しくは、

  • A君が最初に取った封筒がX円であれば、他方は2X円なので、交換すればX円の得。
  • A君が最初に取った封筒が2X円であれば、他方はX円なので、交換すればX円の損。
  • どちらの確率も半々(1/2)だから、交換しても損得の期待値はゼロ。

となり、直感どおりの結果になります。

いかがでしたでしょうか?

理屈ではいたって簡単であるにも関わらず、実はこの問題、数学のプロである学者さんたちも含め多くの人がいまだに間違った回答をしています。試しに、ネットで「2つの封筒問題」をググってみてください。いろいろな解法が懇切丁寧に解説されていると思いますが、ほとんどがトンチンカンな間違いです(笑)

ではなぜ、いまだにこの2つの封筒問題が難解な問題だと多くの人が考え、間違った結果を出し続けているのでしょうか?

三浦俊彦さん著の「論理パラドクシカ 思考のワナに挑む93問」によれば、現代の確率論の主流になっているベイズ理論が原因だろうとされています。主観確率を論ずるベイズ理論では、自分の身に起きたことを中心に考え、それ以外を変数で表すことに違和感がないからだとしております。

今回の例では、自分でない他方の封筒の中身を、(本来は定数であるはずにも関わらず)半額、倍額という2つの変数を持ち出すことに違和感を感じないということになりますね。何事も、主観だけで物事を判断するのは良くないってことですね!

なお、この話にはまだ続きがありまして、それが2つの封筒問題をさらに複雑なものにしています。

今、2つの封筒をA君、B君がそれぞれ受け取ったとして、今度は交換する前に、A君の封筒の中身を見てから、交換するかを決めてよいとしたらどうなるでしょうか?

この場合A君のケースだと、先ほどのA君の考えたことが正しい判断となり、交換した方が得になります。逆に相手の封筒の中身を確認したB君の立場では、交換すると損になります。ただし、この損得が生じるのは1回限りの交換の場合です。封筒の金額はその都度違うので、何回も繰り返すうちにA君B君どちらの立場でも損得の期待値はゼロに近づくことになり、交換は無意味になります。

この証明はかなり難しいので今回は省略しますが、交換前に中身を確認しただけで損・得が出るというのはなんとも不思議な感じがしませんか?

まとめ

今回は、2つの封筒問題をご紹介させていただきました。

多少、誘導的なひっかけもありましたが、頭では変だと分かっていても、もっともらしく筋道立てて説明されるとそれが正しいと認識してしまうという典型例だと思います。

おいしい投資話には、うまく顧客をひっかけようと2つの封筒問題のような一見ロジカルな誘導やワナがつきものですね(笑)。今回の2つの封筒問題がすんなりと分かった方は、相当リテラシーが高いと思いますので、悪徳業者にひっかかることはないと思いますが、筆者も含めて多くの場合は、自分だけで判断しないで、一度周囲の人などに意見を聞いてみてから客観的に判断するのがよいですね。

ご意見やアドバイスいただけますと励みになります!よろしくお願いします。

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