米国株式・ETF投資にかかる税金(前編:税金の種類としくみ)

こんにちは。リモ太郎です。

突然ですが、米国株式やETFで資産運用をされているみなさんは、運用益や配当にどういった種類の税金がかかっているのかご存じでしょうか?筆者は恥ずかしながら、ちゃんと理解できていませんでした💦

おくさん
おくさん

NISAで買ってるのに、米国ETFの配当にも税金かかってるんじゃない!?う~ん税金って複雑・・・

リモ太郎
リモ太郎

でも税金についてちゃんと理解しておくことは、節税にもつながるし大事なことなんだ

特に海外株式にかかる税金ってとても複雑ですよね。しかし、どんな税金がかかっているのかを理解しておくことは、長く運用していく上でもとても重要なんです。なぜなら、払いすぎている税金を返してもらうことができる制度があるからです。

たとえ今はNISAで運用していて「税金なんて関係ないよ」と思っていても、5年過ぎたら特定口座などに切り替えて運用を続けることも考えられますので、やっぱり税金を知っておきたいですよね。

そこで、筆者のような投資初心者にもなるべく分かりやすいように、米国株やETFにどのような税金がかかるのか説明してみたいと思います。

記事は二部構成の予定です。今回は前編ということで、まずは税金という庶民の敵(笑)について、しくみや種類を理解することをゴールにしたいと思います。後編は、実際に税金の還付を受けるための方法について、今後記事にさせていただきます。

こんな方におすすめの記事です
  • 特定口座で米国ETF投資を始めてみたものの、税金についてあまり深く考えていなかった方
  • 配当金が出た時や株の売却時にかかっている税金について知っておきたい方
  • 海外と日本でどっちも税金がかかることに疑問を感じる方
  • 税金を減らせるのはどんな場合か減らせるならどんな手段があるのかを知りたい方

米国株式・ETFにかかる税金の種類

一口に税金といっても、複雑すぎると感じることありませんか?全体像を把握しようとすると、とてもやっかいな税金のしくみですが、1つ1つ分解して考えると意外に分かりやすくなるかと思います。まずは税金がかかるタイミングについてです。

※以後、日本に住んでいる給与所得者を前提に一般ケースで説明しています。例外的なケースもありますので、個々の事象につきましては税理士さんなど専門家のアドバイスを参考にしてください

税金発生のタイミング

米国株式やETFに税金が発生するタイミングは次の2つです。

  1. 株式やETFを売却した時の利益(売却益または譲渡益といいます)が出たとき
  2. 配当金が出たとき

株やETFを売却して利益が出た場合、利益に対して20.315%の税金がかかります。税金の内訳は、所得税15.315%(復興税ふくむ)+ 住民税5%となります。また、利益とは、売却時の株価 ー 購入時の株価のことです。

一方、配当金が出た場合、配当金額に対して20.315%の税金が国内で発生します。内訳は上の売却時と同じです。ただし、米国株やETFの配当金は、米ドルで証券口座に入金されますが、いったんドル建ての配当金額をその時点での為替レートで円に換算した金額に対して円建ての税金がかかることには注意してください。つまり、円安だと税金が高くなったりと為替の影響が税金にも出るということですね。

ここで重要なポイントがあります。配当金は(例えば年に4回とか)出されたタイミングで実現利益となるため、その都度税金が引かれてしまいます。それに対して売却にかかる税金は、売却しない限り税金は発生しないということです。これは、税金の支払いを後回しにするということを意味し、複利の効果を最大限活かせるというメリットとなります(税の繰り延べ効果と言います)。長期の資産運用をするケース、たとえば10年後20年後になってから売却したり切り崩したりすることを想定する運用では、これはとても有効な節税効果になりますね!

長期の資産形成には、配当金が出ない(または自動再投資する)投資信託が最適という方も大勢いますが、この税の繰り延べ効果が1つの理由になっているんですね。

リモ太郎
リモ太郎

NISAのような非課税口座で運用してれば、売却や配当金が発生したときの税金かからないってことだよね。うん、この辺はまだ分かりやすい!

配当金にはアメリカでも税金がかかっている!?

さて、このへんから話が一気にややこしくなります(笑)

米国株・ETFの配当金は、米国でまず10%の税金が控除され、米国課税後の金額に対してさらに日本で20.315%の税金がかかるというしくみになっているんです。

外国と日本の両方で税金が徴収されることを「二重課税」といいます。本来は二重課税は避けられるべきことなので、二国間で二重課税を避けましょうという取り決めルールのようなものがあります。それが租税条約です。

日本とアメリカの間には租税条約が結ばれているため、米国株式を日本人が買う時にも適用されるのですが、売却益と配当金に対する税金に対して適用方法が異なっているんです。

  • 売却益に対しては、租税条約により米国内での税金はかからない(ゼロ)
  • 配当金に対しては、租税条約により米国内での税金は最大10%(10%以外の場合もあり)

課税のイメージとしては下図のようになります。(日本での課税時の為替変換は考慮していません)

図のように、売却益の税引後の最終的な利益は約80%、配当の税引後最終利益は約72%となります。

リモ太郎
リモ太郎

米国では配当にだけ課税されてるんだね。何だか納得いかないような気もするけど、こういう決まりになってると思うしかないか・・・

なお、NISAなどの非課税口座を使っている場合でも、非課税になるのは日本での課税分のみとなります。売却益については米国では課税されませんが、配当は米国で10%課税された後に日本の口座に振り込まれるので、NISAで運用していても配当は90%になりますので、ご注意ください。

非常にややこしいところなのですが、配当金は日米で二重課税されていることは覚えておいて損はないと思います。なぜなら、米国での配当課税分は、確定申告で一部を取り戻せる可能性があるからです。これについては後ほど説明します。

税金はどうやって支払うの?

証券口座別 納税方法

税金をどのように払うか(納税方法)は、証券口座の種類によって違ってきます。

【表1】 証券口座の種類と納税方法

特定口座(源泉徴収なし)で米国株・ETFを保有している場合は、売却益や配当が出たら翌年に納税のため確定申告が必須となります。ただし、年収2000万円以下、かつ売却益と配当が合計20万円以下であれば申告不要となっていますが、その場合も医療費控除やふるさと納税の寄付金控除などを受ける場合は、確定申告が必要となり、その時に株式の利益も併せて申告しなければならなくなるのでご注意ください。

次に特定口座(源泉徴収あり)の場合ですが、売却益や配当が出たタイミングで、自動的に日本での税金を差し引いた金額が口座に振り込まれるため、基本的には確定申告は不要です(=申告不要制度)。

確定申告が不要というのが源泉徴収ありの特定口座の一番のメリットですね。「基本的には」としたのは、申告することにより払った税金の一部が還付される場合があって、還付を受けたい場合は確定申告をする必要があるためです。どのようなケースで還付を受けられるかは、次項で説明します。

リモ太郎
リモ太郎

源泉徴収ありだと、証券会社が代わりに税金を払ってくれるんだね!

最後にNISAなどの非課税口座の場合ですが、日本での税金が免除される制度ですので、そもそも税金を納める必要はないですね。ただし、前述したように配当についてはアメリカで10%が課税された後の金額となります。

税金が戻ってくるのはどんな場合?

米国株やETFにかかる税金の種類やしくみを見てきました。このうち支払うべき(または支払い済みの)税金を少なくできる可能性があるのは、表1の赤枠で囲っている部分です。おおきくは次の2つのケースです。

(1)配当に対して米国、日本で二重課税されている場合

源泉徴収ありなしに関わらず、特定口座で米国株やETFを運用している場合は、米国と日本の両方で税金がかかっています。(表1の項番4と項番5)

この場合、確定申告をすることによって米国でかかる税金の一部を控除してもらうことができます。この制度を「外国税額控除」といいます。

多くのみなさんにとって、米国株の配当にかかる税金対策として、この外国税額控除を受けるために確定申告を検討することになるかと思います。配当にかかる税金の額と、確定申告にかかる手間を考えて、するかしないかを決めるといいかと思います。ちなみに筆者は、配当額が全然少ない状態なので、確定申告はまだしない予定です(笑)

なお、日本の株式やETFの場合には、日本での税金を控除できる「配当控除」という制度があります。また、日本の株式市場に上場している米国ETFの場合ですと、銘柄によっては証券会社が自動的に配当の二重課税を回避してくれる制度も2020年から始まりました。残念ながら、外国株式・ETFはどちらの制度も対象外ですので、本記事では説明は割愛します。

リモ太郎
リモ太郎

米国ETFもそのうち、自動的に二重課税を調整してくれるようになるといいですね!

(2)売却損が出ていて、他の売却や配当と合わせて利益を相殺したい場合

例えば、Aという株を売却(損切り)して100万円の損失を出した一方で、50万円(外国課税後)の配当収入があったとします。この場合、別々に税金を申告すると、

  • A株売却損 ▲100万円 ⇒ 税金(約20%)=0円
  • 配当収入50万円 ⇒ 税金(約20%)=10万円

となり、合計で10万円の税金を納めることになります。

ところが、2つの損益を合算することで全体の税金を少なくすることができます。上の例の場合、▲100万円+50万円=▲50万円の損失となるので、税金はゼロになります。これを「損益通算」といい、確定申告をすることで可能となります。

なお、自分で確定申告する必要があるのは、

  • 異なる証券会社で持っている株やETFの売却損や配当を損益通算したいとき
  • 前年の売却損と今年の売却益・配当とで損益通算したいとき

のいずれかの場合です。1つの証券会社であれば、その年の損益通算は損益会社がやってくれるので、自分で確定申告する必要はありません。

ただし、その年の損益通算により損失が出た場合、確定申告しておくと翌年に損失を繰り越すことで翌年の利益と損益通算することができるようになります(最長3年まで繰越可能)。上の例では50万円の損失は確定申告により翌年に繰り越すことができますので、確定申告をしておくメリットはありますね。

ワンポイント

確定申告の際、所得税には「申告分離課税」と「総合課税」の2つがあり、それぞれ税率が異なります。(申告分離課税は税率が決まっていて、総合課税は所得額に応じた累進課税です)

売却益は申告分離課税として申告することになっており、所得税率は15.315%で固定です。

一方、配当については申告分離課税として申告するか総合課税として申告するかを選ぶことができるようになっています。総合課税の税率は(給与所得などの他の所得を含めた)所得額に応じて決まりますので、給与所得がない・少ない場合は総合課税を選択することで税率を下げることができる可能性があります。

ただし、損益通算をする場合は配当金を申告分離課税として申告することが必須になりますのでご注意ください。

まとめ

今回は、米国株やETFにかかる税金の種類としくみについてご紹介しました。実際に確定申告で税金の払い戻しを行う手順は、後編として後日配信する予定です。

それにしても、日本の税金のしくみって本当に複雑ですよね…。もっとシンプルに分かりやすくならないかと思ってしまうのですが(笑)。とはいえちゃんと税金を理解することは、税金対策にもつながるので重要です。資産が増えてくればくるほど、重要性も増しますので、この機会に整理しておきたかった、というのが記事作成の背景でした。

まとめ
  • 米国株やETFには、売却益が出たときと配当が出たときに税金がかかる
  • 売却益にかかる税金と、配当にかかる税金は異なるが、確定申告によりそれぞれ払いすぎた税金を取り戻せる可能性がある

今回は以上となります。ご意見、アドバイスなどございましたら、コメント残していただけると励みになります。よろしくお願いします!

リモ太郎

コメント